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スライドレールの基本
Slide rail basics

スライドレール選定のコツ

スライドレール選定条件の構成要素

スライドレールの選定条件となる要素は一般的には次の3つがあげられます。
「耐荷重」「スライドレールの 長さ・ 移動量」「引抜けるという機能の要・不要」です。
この要因を全て満たすものが見つかれば、それが希望条件にマッチしたスライドレールということになるでしょう。ですからスライドレールを選定するに当たっては、まず次のことを明確にしておく必要があります。
「何( どんな大きさ・どんな重さのもの)を どのくらいスライドさせたいのか」また「スライドレールは 引抜ける方が良いのかできない方が良いのか、それ以外に どんな機能があれば更に良いのか」と言うことです。

当社のスライドレールは軽荷重用から重荷重用まで幅広く取り揃えており、その長さも標準品で最も短いもので70㎜、長いもので1500㎜のものまでラインアップしています。これら数多いスライドレール製品群の中から、より条件にマッチしたスライドレールを選んで頂くためには、まずは当社スライドレールがどのように構成されているかについて最低限の内容を知っておいて頂く必要があります。

 1  スライドレールには様々な荷重に対応したものがある

当社製品は「軽荷重用スライドレール」「中荷重用スライドレール」「重荷重用スライドレール」の3つのカテゴリーに分類しており、「スライドレール総合カタログ」や当サイトのWEBカタログ (PDF)では製品毎のページに明示しております。(右図参照)また当社ホームページではカテゴリー順にまとめた製品一覧をご用意しております。

また同じモデルでもスライドレールの長さによって耐荷重が異なります。品番毎の耐荷重は製品毎の「寸法一覧」で確認頂けます。(左図参照)

当社ではスライドレールの耐荷重を「定格荷重」で表現しています。
この「定格荷重」とは以下のような条件を想定した耐荷重です。

ヒキダシの重心はドロワーメンバー(またはインナーメンバー)の長さと左右の幅の中心にあるものと想定しています。

またスライドレール取付幅(W)は400mmで、スライドレールはキャビネットとヒキダシ部の両方にしっかりと固定され、垂直に設置されている状態。引き出し回数は生涯で10,000回の開閉を想定しています。

ですから重心が前荷重になる場合や取り付け幅の広い場合、また使用回数が頻繁な場合などはマージンを多めにとる必要があります。

 2  スライドレールにはトラベルスライドレール長さよりも短いものと長いものがある

スライドレールの移動量を当社カタログ、WEBでは「トラベル」と表記しています。 引出量、移動距離、ストロークなどと呼ばれることもあります。
「どんな大きさのもの」を「どのくらい」引き出したいかによって選定するスライドレールが変わってきます。大きく分けて次のような2種類があります。

トラベルスライドレール長さのスライドレール

トラベルがスライドレール長さよりも短いものです。標準品の場合スライド長さに対し約3/4となっており、当社カタログ、WEBなどでは「3/4トラベル」と表記しています。
一般的にアウターメンバーとインナーメンバーの2つのメンバーで構成されているため、このような構成の製品は「2メンバー」と表記しています。
また、シングルスライド、二段引きなどと呼ばれる場合もあります。

トラベルスライドレール長さのスライドレール

トラベルがスライドレール長さよりも長いものです。標準品の場合スライド長さに対し同じか或いは25mm程度長くなっており、当社カタログ、WEBなどでは「フルトラベル」と表記しています。また完全スライドと呼ばれる場合もあります。
フルトラベルの製品は一般的にキャビネットメンバーと中間メンバーとドロワーメンバーの3つのメンバーで構成されているため、このような構成の製品は「3メンバー」と表記しています。
また、ダブルスライド、三段引きなどと呼ばれる場合もあります。

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スライドレールの各パーツの名称や基本となる構造について動画で紹介しています。

「スライドレールの基本構成~THE ACCURIDE BUILDING BLOCK 」

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 3  スライドレールには引き抜けないものと引き抜けるものがある
ストップタイプ
スライドレールを全開にしたときに、引き抜けないタイプのことを当社カタログ、WEBではこう表記しています。 全開もしくは全閉でロック(保持)する機能のことではありません。
フロントディスコネクト
ドロワーメンバー(インナーメンバー)をフロント方向に引き抜きできるタイプのスライドレールをこう表記しています。フロントディスコネクトには以下の3タイプがあります。
ブレーキストップタイプ
スライドレールを全開にした時に、ブレーキストップ(フリクションストップ=摩擦抵抗)し、さらに強く引くと引き抜けるタイプ。
ロックタイプ
スライドレールを全開にした時にロックされ、スプリング・レバー・ラッチ等を操作することにより解除され、引き抜きができるタイプ。
オートロックタイプ (AL)
ディスコネクトスプリング・ディスコネクトレバーを操作することで、ドロワーメンバーが引き抜けるタイプ。スライドレール全開時にロックはされないが、収納(押し込み)する場合、解除の操作を行わなくても収納することができる。

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当社スライドレールの着脱の機能について動画で紹介しています。

「機能紹介・ストップタイプとフロントディスコネクト 」

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ロックタイプとオートロックタイプの機能の違いについて、モデル305を例に説明しています。

「スライドレール機能紹介 ロック、オートロック(AL)」

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*オートロック(AL)のメカニズムを文章で説明しているページもあります。こちらをクリックしてください。

 4  必要に応じその他にもいろいろ特色ある機能のスライドレールがある
消音タイプ

全開時及び全閉時の金属音を軽減させたもの。使用するパーツとしてはフエルト、樹脂製バンパー、クッションなど。

ディテント機構

スライドレールを全開にした時、あるいは全閉にした時に簡易的に保持する機構。全開時をディテントアウト、全閉時をディテントインと呼ぶ。

シーケンシャル機構

順次機構。3メンバーのスライドレールにおいて、開時には中間メンバー→ドロワーメンバーの順に引き出されてくる。このようにメンバーの順を規制することにより耐久性が向上する。

リニアメカニズム

インナーメンバーが常にボールリテナーの中でスライドするため、正確な直線往復運動をする。またボールリテナーとインナーメンバーの動きをベルトを介して連動させたRSシステム(ランダムシンクロナイズドシステム)を用いれば、ボールリテナーとインナーメンバーの間にズレが発生しない正確な動きが得られる。

インターロック機構

複数段のヒキダシ等で1段を引き出した状態の時、他のヒキダシが出てこないようにするための機構。安全性確保のため、キャビネット等で同時に複数のヒキダシが出てこないようにする。

タッチアンドリリース

収納時はロックが掛かっており、ヒキダシの全面を押すことによりロックが解除され、ヒキダシが開いてくる機構。プッシュオープン機構。

セルフクロージング

ヒキダシの収納時に、全閉の手前から自動的に引き込んでくれる機構。ダンパー等は用いていない為、ゆっくりとした動きではないが、開時の引き力は軽い力で引き込み解除が可能。また、簡易保持やアンチリバウンド(跳ね返り防止)の機能も併せ持つ。

イージークローズ

セルフクロージング同様、ヒキダシの収納時、全閉の手前から自動的に引き込んでくれる機構であるが、その際の引き込む動きがゆっくりと閉まっていく機構。簡易保持やアンチリバウンド(跳ね返り防止)の機能も併せ持つ。

クローズドロック

スライドレールが閉じている状態ではロックが掛っており、前面のロック解除レバーを操作することによりスライドレールを引出すことができる機能。

2ウェイトラベル

前後両方向に引き出せるスライドレールのこと。3メンバーのスライドレールの場合、中間メンバーの動きを規制する残留防止機構が必要となる。

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上記で紹介した機能の他、スライドレール に関連する用語を取りまとめた「スライドレール用語集」のページを設置しています。

当社総合カタログにスライド選定のお役に立つ「スライドレール機能一覧表」を掲載しています。
カタログご希望の方は、当サイトからご請求頂けます。

当サイト内各所に製品検索ツール「PRODUCT SEARCH」を設置しています。 スライド長さ(レングス)、トラベル(移動量、ストローク)、耐荷重を入力の上、ご希望の機能を選択して下さい。 該当する製品があった場合、候補リストが表示されます。

お手元にある弊社製品の品番を調べたい時は、動画「アキュライドホームページでスライドレールの品番を調べる」を参照してください。

スライドレールの取り付け方のコツ

*ここではスライドレールを用いて引き出そうとする構造物の総称を「ヒキダシ」と表現しています。

スライドレールのヒキダシへの望ましい取り付け位置

スライドレールは元々家具の引出用の金物です。ですからヒキダシの側面にスライドレールを縦方向にして取付けるのが望ましい取付位置です。(下図A)
間口の広いヒキダシや背の高いヒキダシでは開閉時に振れが出やすいので、このような場合にはスライドレールを追加して補うなど、振れを減少させる工夫をした方が良いでしょう。(下図B)
スライドレールは左右平行・均等な位置に取り付け、荷重を垂直方向で受けるようにして下さい。左右均等でない取り付けにより傾きが発生した場合や開閉時の振れが発生した場合では、スライドレールが垂直方向以外の応力を受け、その結果製品の性能や寿命に影響を及ぼすことがあります。(下図C)
また、スライドレールの水平方向の使用(下図D)や片側使いでの使用(下図E)はあまり推奨しない使用方法です。このような取り付けをご検討の方は当社窓口または当サイトの相談コーナーにお問い合わせ下さい。

図A
図B
図C
図D
図E

左右のスライドレールの平行を確保しましょう

左右のスライドレールの平行度が出ていないとなめらかでスムーズな動きにならないだけでなく、スライドレールの耐久に影響を及ぼします。また異音などの発生原因ともなります。ヒキダシ、筐体の設計をする上で極力この平行を確保するようお願いします。

(1)上下方向の平行

側板に墨線を引く、治具を当てるなどして極力左右平行となるよう取り付けて下さい。
右図でいえば「Θ1」の値が左右のスライドレールでイコールとなるよう取り付けて下さい。
取付穴でタテ長穴のあるスライドレールの場合、この穴を使用して仮止めし、開閉動作などでスムーズに動くよう調整を行った後、本締めをするとするとよいでしょう。

(2)前後方向の平行

右の図は取り付け間口のフロント側に比べてリア側が狭い取り付けとなってしまった場合を表しています。このような場合、閉まっているときの誤差は少なくてもスライドレールを開いて行くに従い誤差が増幅しますので、初動は軽くても開いていくにしたがって引き力は重くなります。
このような状態でヒキダシの開閉を繰り返しますと摺動面のダレなど変形をもたらし、製品寿命に影響を及ぼします。

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当社では「ドロワーレール仕様」の製品をラインアップしています。
「ドロワーレール仕様」はドロワーメンバーをヒキダシに直接ねじ止めするのではなく、ドロワーレールを介しドロワーメンバー上に載せる構造となっています。
ドロワーメンバーとドロワーレールの間にクリアランスがあり、それにより左右の平行の誤差を吸収することができます。
そのため他の製品と比較し、調整が非常に少なくて済む製品です。

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それぞれのスライドレールにあった正しいねじを使いましょう

ねじは各モデルに対する推奨ねじを使用して下さい。
推奨ねじは当社「スライドレール総合カタログ」またWEBカタログ(PDF)の注記部分に記載されています。(右図参照)中荷重以上のモデルでは主にM4のバインドねじまたはトラス小ねじを推奨しており、軽荷重用のモデルでは主にM3のバインドねじまたはトラス小ねじを推奨しております。
推奨ねじ以外のねじを使用した場合、スライドレール内部でパーツと干渉しスムーズな動きを得られない場合があります。また異音などの発生原因ともなり、最悪の場合、スライドレールが動かない、あるいは破損に繋がることもあります。
必ず「スライドレール総合カタログ」、WEBカタログで推奨ねじご確認の上、正しいものをご使用ください。

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「推奨ねじ一覧表」作成しました。右の画像をクリックしてください。

当社スライドレールの取付穴の種類

当社標準品の取付穴は主に次のような取付穴で構成されています。

それ以外に、他のメンバーと重なっているなどで直接アクセスすることのできない取付穴にアクセスするための「アクセスホール」を隣接するメンバーに設けています。アクセスホールをねじ止めしたい取付穴の真上まで動かして使用して下さい。

当社スライドレールの標準品は汎用性を持たせるため、多めに取付穴を明けていますので、必ず全ての穴をねじ止めしなければいけないと云う訳ではありません。

当社スライドレールの取付穴の種類

スライドレールを使用する時は、ねじ止めしてある箇所を支点として負荷がかかります。ですから出来るだけスライドレール先端、後端に近いねじ穴を使用するようにしてください。

荷重がギリギリあるいは使用頻度が多いなど条件が過酷な場合は、全開時にボールベアリングがかかっている箇所を極力止めるようにして下さい。
特にキャビネットメンバー(アウターメンバー)先端、ドロワーメンバー(インナーメンバー)後端は一番負荷の掛るところですので特にしっかりと止めて下さい。連続して穴が空いていたら複数個止めることをお薦めします。あとはスライド長さに応じスライドレール中程の取付穴を止めて下さい。

モデル別スライドレールの取り付け方

Model 301
3メンバー/ストップタイプ

取り付け方

①フレームや側板などに取り付ける位置を決めて、キャビネットメンバーを仮締めします。

②キャビネットメンバーのフロント側の取付穴はアクセスホールを介してねじを止めます。

③反対側の相手方も①②と同様の手順で、キャビネットメンバーを仮締めします。

④左右のスライドレールの平行を確認し、ヒキダシも仮締めで取り付けます。

⑤ドロワーメンバー後方の取付穴はアクセスホールを利用して取り付けます。

⑥ヒキダシの反対側も③④と同様の手順で仮締めします。

⑦動作確認でヒキダシを何度か開閉して下さい。動きが軽くなったところで本締めして完成です。

Model 201
2メンバー/ストップタイプ

取り付け方

①フレームや側板などに取り付ける位置を決めて、アウターメンバーを仮締めします。

②アウターメンバーのフロント側の取付穴はアクセスホールを介してねじを止めます。

③反対側の相手方も①②と同様の手順で、アウターメンバーを仮締めします。

④左右のスライドレールの平行を確認し、ヒキダシも仮締めで取り付けます。

⑤ヒキダシの反対側も③④と同様の手順で仮締めします。

⑥インナーメンバー後方の取付穴をねじ止めする場合は、インナーメンバーを後方にずらして行います。

⑦同様にアウターメンバーのフロント側の2番目3番目の取付穴もインナーメンバーを後方にずらした状態で取付けを行います。

⑧動作確認でヒキダシを何度か開閉して下さい。動きが軽くなったところで本締めして完成です。

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モデル201、2721、2421インナーメンバー後端の取付けって?

モデル201のインナーメンバー後方のねじ穴は、インナーメンバーを後方にずらして取付を行います。モデル2721、モデル2421ではアウターメンバーのアクセスホールから取り付ける必要があります。
アウターメンバーを先に取付け、その後でインナーメンバーを取り付けようとした場合、側板やフレームの該当箇所にアクセス可能な逃がし穴を明けておく必要があります。
それが無理な時にはインナーメンバー前方のねじ穴だけで止めなければなりませんので、耐荷重のマージンは十分に取って頂くようお願いします。

Model 305
3メンバー/フロントディスコネクト・ロックタイプ

取り付け方

①まずはヒキダシにとりつけるドロワーメンバーを引き抜いて取り外します。

②フレームや側板などに取り付ける位置を決めて、アウターメンバーを仮締めします。

③キャビネットメンバーのフロント側の取付穴はアクセスホールを介してねじを止めます。

④反対側の相手方も②③と同様の手順で、キャビネットメンバーを仮締めします。

⑤取り外したドロワーメンバーをヒキダシの両側に仮締めで取り付けます。

⑥ドロワーメンバーを差し込みやすくするため、取付け済みのスライドレールの中間メンバーを全開にしておきます。

⑦ドロワーメンバーをガイドボールに沿って差し込みます。

⑧動作確認でヒキダシを何度か開閉して下さい。動きが軽くなったところで本締めして完成です。

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当社ホームページ上により詳しい参考資料「設計上の注意点」をアップロードしております。
右図をクリックして、該当ページからダウンロードして下さい。

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